
今回の会議参加者
大石陽 | たかし |
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考察者 | 質問者 |






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『すべてがFになる』キャラクター名復習
名前 | 呼び方 | 特徴 |
---|---|---|
西之園萌絵 | 萌絵 | ボブカットの女子大生 |
犀川創平 | 犀川先生 | 眼鏡に癖毛の助教授 |
真賀田四季 | 四季 | 黒髪ロングヘアの天才 |
『すべてがFになる』のアニメ第10話『紫苑色の真実』を解説&考察
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た:事件の真相もわかったわけだし……。
解説することもあんまりないでしょ?
大:いや、あるよ。
たかし君だって、疑問に思ったところはあるだろう?
た:うーん、そうだなあ。
じゃあ、まず、『紫苑色』ってなに?
そもそも読めないんだけど。
大:『しおんいろ』だね。
紫苑は花の名前で、いわゆる和色ってやつだ。
色コードで言うと#968ABD、つまりこの色だ。
た:薄めの紫色って感じだね。
でも、なにが紫苑色なんだろう?
大:第8話は『紫色の夜明け』だったけど、やはり紫というと夜明け、夕暮れを想像するな。
そこよりさらに明るくなっている、という含みがあるのかな?
でも、そうだとすると、同時にまだ明けきっていないという意味でもありそうだ。
た:なるほど……。
じゃあ、謎はまだあるってことか。
大:本当に私の言った意味で合っているならね。
タイトルの意味
た:今回、とうとう『すべてがFになる』の意味が明かされたね。
大:そうだね。
簡単に言うと、16進法でFは最大の数である15。
すべてがFになるというのは、16進法の数字が最大値となるということ。
すなわち、レッドマインとデボラの暴走は予定されており、その日に起こるように仕組まれていた。
そのヒントとして残したのが『すべてがFになる』という言葉だった……、という感じかな。
たかし君は納得した?
た:聞けば、なるほどとは思うけど。
そもそもなんで16進法なの? 不自然じゃない?
大:ああ、そうだね。
でも、人類が十進法を採用したのだって、別に自然の摂理ってわけじゃない。
人間の指が偶然10本で、数を数えるときに10単位が都合がよかったってだけでね。
それと同じように、コンピュータには十進法よりこっちのほうが数えやすいんだ。
た:そうなの?
大:コンピュータはもともと、たくさんあるスイッチをオン、オフすることで電気の流れを制御して計算をしていた。
このスイッチが1ビットで、基本が2進法だからね。2の乗数のほうが計算しやすいんだよ。
16なら、2の4乗で、10に近いから人間も把握しやすいのでちょうどいい。
た:あ、もしかして、パソコンの容量とか、1024kBで1MBになるのも同じ理由?
大:うん、その通り。
1024は2の10乗だね。
た:そうか……、でも普通の人が16進法なんて思いつくかな。
大:対象は普通の人じゃないからね。
さっきも言ったように、コンピュータは2進法をベースにしているから、コンピュータのコードって16進法の数字の羅列だったりするんだ。
ほら、さっきの紫苑色の色コードだってそうだよ。
「#968ABD」は、2桁ごとにRed、Green、Blueの濃さを表している。
もちろん16進法で、16進法の2桁はちょうど1バイトになる。
最大値を255として、赤が150、緑が138、青が189の色、ということ。
プログラマとか、Webデザイナとか、あるいは単にPCゲーマとか、コンピュータに触れるひとは結構知ってると思うよ。
た:コンピュータに詳しい人が対象、と考えればわかる、か、な?
大:それに、BとDが7と同じで孤独、というヒントも萌絵に出しているしね。
なぜ萌絵にヒントを出したのか、なぜ犀川先生を知っているのか、については、Vシリーズと四季シリーズをひととおり読んでもらうとして……。
『すべてがFになる』については、こうして解説された。劇中でも出てくる言葉だしね。
さて、しかしこのアニメのタイトルは『すべてがFになる』だけではない。
た:『THE PERFECT INSIDER』のこと?
大:そう。訳すなら、完全なる内部者、かな。
この副題には複数の意味がある。
・真賀田研究所の基幹システムであるレッドマジックそのもの
・真賀田研究所の名称にもなっている真賀田四季博士そのもの
・出産という手段によって内部から『密室』が破られたということ
さらに言うなら、VRマシンも自分の脳内イメージを視覚化するという意味でINSIDEかもしれない。
森博嗣の作品は、こういう風にタイトルが言葉遊び的に作品の内容を示していたりして面白いよ。
ダジャレになってるのもあるけど。
た:へー。ダジャレって?
大:『封印再度』の副題は『Who Inside?』だし、あと『夢・出会い・魔性』はもちろん「夢で逢いましょう」とのダブルミーニングだけど、副題は『You May Die In My Show』だ。
た:ダジャレだ……。
大:もちろん、どちらもちゃんと事件やトリックに絡んだタイトルになっているよ。
興味があったら是非いろいろ手にとって欲しいな。
犀川先生と真賀田四季
大:さて、次はこのシーン。
真賀田四季が“真相”を話すところだね。
た:なんだか含みのある言い方だなあ。
大:それはもちろん、あと一話あるわけだからね。
このシーンは、当然の事ながら原作には存在しない。
原作のVRカートはもっとチープなものだったからね。
しかし、このシーン自体は、S&Mシリーズ、つまり犀川先生と萌絵のシリーズの中に元となる場面が存在する。
どの作品に、と言ってしまうと、その作品の内容をネタバレしてしまうから伏せておくけども。
た:え、そんなに気にするようなシーンでもなくない?
大:いやいや、とても重要なシーンだよ。
詳しくはWEB……、じゃなかった、原作でね。
さて、真賀田四季という重要人物と、犀川創平という重要人物。
このふたりが顔を合わせるのは二度目だけど、一度目は真賀田未来としてだからね、実質的にはこれが初だ。
とはいえ、こちらは犀川先生、あちらは真賀田四季だから、対決という感じはあまりないね。
た:仲良さそうだよね。
萌絵だけ蚊帳の外って感じ。
大:萌絵の質問で真賀田四季の娘が自分の生き方に疑問を持った……、というのはアニメオリジナルだね。
アニメスタッフも、何か萌絵の必要性を強調したかったのかもしれない。
まあ、ともすれば事件に関わらない犀川先生をこの場に引っ張り出すことができる、というだけで重要なんだけどね。
普通の相手だったら犀川先生はごまかすかはぐらかすかして受け入れないだろうし。
た:昔なじみならではって感じなわけか。
大:さて、この会談のシーン、原作では関係者一同を前にして真賀田四季が話をするけど、アニメでは犀川先生と萌絵にだけ話すという形になっている。
まあ、真賀田四季が第三者が聞いていることを想定していないとは思えないけども。
萌絵は犯人が真賀田四季の娘であることにこだわっていたけれども、これは話の順序が原作と入れ替わっている影響が大きいかな。
原作のこの時点では、真賀田四季は萌絵に最初に接触したときと同じ「ミチル」を名乗っている。
そして、事件のからくりを話し、萌絵が自分の推理によってそれを補足する。
会談が終わったあとに、はじめて犀川先生が犯人が真賀田四季本人であるという自分の推理を話す、というのがもともとの流れなんだ。
でも、アニメでは先に犯人が真賀田四季であるという情報が出てきているから、萌絵がなぜか犀川先生に反発する形になっている。
私個人的には、もう少しこのあたりは調整したほうがよかったんじゃないかな、と思うけどね。
た:そのへんは結構変わってるんだね。
大:話の都合もあるだろう。
アニメの場合は次の話まで1週間空くから、毎回なにか進展させないと飽きてしまうからね。
犀川先生が萌絵に「君の推理は論理的じゃない」と非難めいたことを言うのも、個人的にはちょっと思うところがあるかな。
原作だと、真賀田四季は犀川との会話の中で「あの方の発想は天才的だわ。予測ができない。あの才能は、とても貴重なものです」と評価されているんだけど、アニメではワトソン役の宿命か、あまり頭がいいようには描写されていないね。
た:で、さっき言ってた“真相”っていうのは?
大:例えば、真賀田四季の娘が自ら命を断ったことを示唆されているけれども、これが本当に真相なのかはわからない。
四季の過去については、実際にアニメで描写もあったけど、娘についてはセリフで示されるだけだ。
それに、四季の自白が正しくない可能性については実例がある。
た:というと?
大:原作では、15年前の事件について、主犯は新藤清二であった、四季は身代わりにされただけである……、という話をするんだ。
でも、それは『四季 夏』で事実ではなかった……、つまり今回のアニメ通りだったと否定される。
その『四季 夏』につづいての『四季 秋』で、今度は娘は実は自分が手を下したのではない、自ら命を断ったのだ、と、初めて明かされる。
た:あれ?
じゃあ、『すべてがFになる』ではそうじゃないの?
大:うん、普通に真賀田四季が犯人だって話をするし、本人もそれを認めている。
あとから真相が変わったのかもしれないけど、しかし証拠のない自白が真実かどうかは十分疑わしいと私は思ってる。
あんまり突き詰めちゃうと後期クイーン問題になってしまうけど。
た:難しいなあ。
でも、アニメでわざわざそんな嘘つくかな?
大:うーん、確かにそれはそうなんだけど、真賀田四季だし……。
是非とも原作を読破して自分で考えてもらいたいなと思うんだけどね。
た:アニメの常識に収まらない天才真賀田四季……。
大:いやあ、本当、原作読んでると真賀田四季ならなんでもありかなって気分になってくるよ。
た:神かな?
大:(似たようなものかもしれないな……)
今回の疑問点
大:さて、じゃあ最後にちょっと疑問な点を……。
た:感動の再会のシーンだね。
大:このあと、真賀田四季はナイフを取り出すんだけど、さすがにここで刺してからヘリに乗せたら屋上に血痕残りすぎじゃない?
た:たしかに……。
大:貫通したら返り血もすごそうだし……。
あるいは、実際にはここでは犯行に及ばなかったのかもしれないけど。
あともう一つは、子供を産んだら母胎は……、とかそういう話について。
た:それ自体は自然の摂理じゃない? サケとかもそうだよね、確か。
大:一度にたくさん子供を残す種だったらそれでいいんだけど。
人間の場合、一度に産まれる子供は普通一人だよね。
もしそれで役割を終えたからって親がいなくなったら、どんどん数が減っていくことになる。
た:……あ。
大:親は絶対ふたり必要なんだから、それ以上は残してからじゃないと……。
そもそも恒温動物はできるだけ生きて子供をたくさん残すようにできているわけだし。
文字通りの意味ではなく、あくまで例えだとは思うけど……。
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閉会式
・すべてがFになる1-1「原作のどこまでアニメ化?」
・すべてがFになる1-2「”7が孤独”の意味」
・すべてがFになる2-1「登場人物と原作改変箇所の紹介」
・すべてがFになる2-2「真賀田四季と西之園萌絵の対比演出」
・すべてがFになる3「語り手について」
・すべてがFになる4-1「キャラの反応が原作と違う理由」
・すべてがFになる4-2「四季の他の人格について」
・すべてがFになる5「四季の腕と足について」
・すべてがFになる6「15という数字」
・すべてがFになる7-1「水谷や島田の原作との相違点」
・すべてがFになる7-2「未来との会話の注目点」
・すべてがFになる8「ミチルの役割」
・すべてがFになる9-1「原作との違いと儀同世津子」
・すべてがFになる9-2「プログラマー視点の疑問点」
・すべてがFになる10「タイトルの意味」
・すべてがFになる11-1「国枝の質問」
・すべてがFになる11-2「真賀田四季の犀川評」
・すべてがFになるの放送日時とクール数情報

・すべてがFになる1「”BとDが孤独”の意味」
・すべてがFになる2&3「犯人のヒント」
・すべてがFになる4「テレビの用途」
・すべてがFになる5&6「犯人暴露」
・すべてがFになる9「”女性が2人”の伏線」


もう事件は終わってるよね?

だから、次回は事件後の話だ。




それでは、次回の最終回も、お楽しみに。


→おそ松さんが3倍面白くなる記事

→終物語が3倍面白くなる記事

→鉄血のオルフェンズが3倍面白くなる記事

→コンクリート・レボルティオが3倍面白くなる記事

→櫻子さんの足下には~が3倍面白くなる記事
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コメント
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砂浜のシーンは原作ファンならピーンと来るところですね…あれのあのシーンからでしょうね…と、言うことは、アレの映像化は絶望的…(>_<)
来週の一大イベントは世津子の正体発表!ですね!(笑)
コメントありがとうございます。
いいシーンなので是非勧めたいのですが、そうするとネタバレになってしまうという現実……。
森博嗣作品は巻をまたいだ伏線が楽しいところなので、アニメから原作読破してくれる人が一人でも増えると嬉しいですね(大石陽)